はるのひと

いい感じにぼやけていますが、ベランダの桜のつぼみが色づいています。暖かくなって、バラの新芽もにょきにょき伸びています。

このごろ妊婦さんが目につくのだけど、薄着になってきたからなのかな。お腹の中ですくすくと育っている感じが春に似合います。

春といえば、時々不思議な人を見かけるのですが、私の中では「挨拶おばさん」と名付けられている彼女は、いつもどこかのスーパーのカートを押しながらガラガラと街を歩いておりまして、それが結構なスピードなのです。地元でも見るし、いくつか先の駅でも見たことがあります。ただ歩いているだけじゃなく、目に付く物をみんな口にして、大きな声でしゃべりまくります。

「○○銀行なんとか支店さんおはようございます! なんとか商店ほにゃらら工務店さんご苦労さまです、なんたらかんたらありがとうございます!」というように、早口で言っていくのでほとんど聞き取れないのですが、挨拶をしているのはわかります。(なんだかその人のことは前にも書いた気がしてきましたが続けます)

その女性に、先日は電車の中で遭遇しました。そうか、電車にも乗るから別の場所でも見るのよねと納得。

ガラガラガラガラとすごいスピードでカートを押しながら、通路を早足でやってきました。広告を読んでいるのか、突然「山口なんとか!」と、人の名前を大きな声で読み上げて目の前を通過しました。カートにはいろんなスーパーのカゴが5つ6つ、上にも下にも重ねてありまして、荷物らしい荷物は見当たりません。

私から見れば無茶な歩き方だし、カートもカゴも彼女のものではないはずだし、めちゃくちゃインパクト強くて人の目を惹きながら挨拶をして回る。ああ、今日も彼女は無事で、元気にやりたいようにやっている。平和だ。そして春なんだ。

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sakurai
書かなければ忘れてしまうようなことを書き、次の日には書いたことを忘れています。1960年代生まれ。♀。肩書不定。ただの「私」でありたいんだと青臭いことを言っても、読んだらわかるただの主婦。