空気の移動

わざわざ書くほどのことでもないとは思いつつ……

先日、ふたつの教室合同の小さな発表会があり、生徒として参加した。このご時世であるから、お互いの発表を見るという形のおさらい会みたいなものだ。

私の属している教室をA、もうひとつをBとすると、Bの方が発足したのが早く、古参の方々は10年くらい先輩だ。だから、私たちが初心者の頃は、発表の機会があるたびに成長を認めてくれたり、作品の出来を褒めてくれたりしていたものだった。

コロナ禍で、彼女らは昨年の公演にも出演しなかったし、交流する機会もなくなっていたから、今回はしばらくぶりの再会だった。私は彼女らの朗読劇を見るのはもちろん、見てもらうのも楽しみにしていた。

ところが、なんとなーく、思っていた集まりとは違った。
よそよそしくて、今思い返しても、お互いに正面から顔を見合った記憶がない。笑いもない。たーだ互いの発表を見て、なるほどねと拍手しただけ。一緒に何かをした感じは全くなかった。

打ち上げもできないから、食事をしながら話す機会がなかったせいかもしれない。あるいは、互いを競わせる感を先生が強く発するからなのか、10年の間に立場が変わったせいなのか、仕上がりに自信がなかったからなのか、考えると理由はいろいろ思いつくけれど、ただの想像。とりあえず、古参の人が特に、オモシロクナイ感を醸しているように見えてしまった。

でも、私個人が感じているこの印象は、例えてみれば、親戚のおばちゃんに久しぶりに会うのを楽しみにしていたら、「大きくなったわねえ」とも言ってくれなかった・・・くらいのことかもしれない。おばちゃんにしてみれば今更、「大きくなった」って感想もないってところか。

何かこう、人と接する中で「片想い」な感じを抱くと寂しくなるのだが、じゃあ自分はちゃんと愛情表現していたかといえば自信はないし、実はドライな関係の方が楽なんだから、我ながらわがままなものだ。

まあ、いいや。

いずれにせよ、指導する立場で複数の教室を持ったなら、双方でそれぞれの噂話をしちゃいかんということは肝に銘じておこうと思った。

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sakurai
書かなければ忘れてしまうようなことを書き、次の日には書いたことを忘れています。1960年代生まれ。♀。肩書不定。ただの「私」でありたいんだと青臭いことを言っても、読んだらわかるただの主婦。