エンドロール

桜、満開になった。

冬の間、朝5時に起きる自分のために床暖房のタイマーを4時にセットしていたけれど、今朝はもわ〜っと温かすぎて、スイッチを切った。もうタイマーを使うのはやめよう。

昼間の気温は20度を超えた。上着を手に持って歩く人がほとんど。半袖の人もいた。春はいつも急にやってくる。

昨夜、ふとしたきっかけで、知らない人の「披露宴のエンドロール」を見た。新郎新婦本人たち出演による、披露宴のエンディングに流すために作られた映像だ。二人の出会いからの画像はもちろん、親族や友人の姿も映っているし、結婚式や披露宴当日の撮って出しの映像も加えられているから、プロが作ったものかもしれない。BGMになっている流行歌まるまる一曲分の長さ、まるでミュージックビデオのようだった。

もちろん、私からしたら「見ず知らずの他人の結婚式」だ。なのに見入ってしまった。幸せな人を見たら幸せという図式かもしれないが、なんというか、誰が見ても感動するように作りこまれているんじゃないかとさえ思った。全てを「撮っておく」今の時代らしい濃密さだ。

ともあれ、あんなことがあってこんなことがあって、そして今日という記念日。親族も友人も、みんなが笑顔で幸せそうな映像は文句なしに良い。春らしいほんわかした幸せを感じた。

一方で、あまりによく出来ているので、まるで映画の予告編みたいだなとも思った。そこに「全部」が明かされているわけではなく、ハイライトだけが並んでいて、この先にどんな展開があるのかは、誰にも分からない。

……なーんてことを考えるような赤の他人でごめんなさいなのだけど。

なんか、せつない。

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sakurai
書かなければ忘れてしまうようなことを書き、次の日には書いたことを忘れています。1960年代生まれ。♀。肩書不定。ただの「私」でありたいんだと青臭いことを言っても、読んだらわかるただの主婦。