黙々と張り切り貼り

 外に出ると暑い。とにかく暑い。暑い時には単純作業がよい。特に急ぎの仕事もないので、シールの切り貼りをしまくった。番地とメールアドレスが古いままの会社案内などがどっさりあるのだ。

 シールを細かく切って、ちまちまと貼る。真っ直ぐに切って真っ直ぐに貼る。それだけだ。私はこんなことをするために生まれてきたんじゃないのにぃーー! なんて、微塵も思わない。楽しくって仕方がない。

 もちろん、たまぁーの数時間だからこその話であって、一日8時間毎日貼って…と言われたらさすがに没頭どころじゃないけど。

 時々、前に誰かが貼ったシールが曲がっているのが気になってくる。剥がして貼り直したいA型気質が全開になりそうになるけど、それを始めると大変なことになるから、グッと我慢して、自分の貼るシールに集中する。

 この「やり直したい」欲が、何においてもなかなかの曲者だ。たとえば編み物でも、そこを編んでいた時には「別にいいや」と思っていた粗が、後から気になって気になって仕方なくなり、結局そこまでほどいてしまうことがある。それなら最初からきちっきちっとやればいいのに、適当に、流れに乗って見逃しちゃうんだよねぇ。編み直すなら編み直すでも、もっと早くに決断すればいいのにさ。

「いや、A段までほどくことにはなったけれど、A段からここまで編み続けてきた数十センチは決して無駄ではないのだ!」

 なーんてことは、ない。単に毛糸がクタクタになるだけだ。

 文章も、後から後から書き直したくなるんだよね。大した違いもないのにさ。

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sakurai
書かなければ忘れてしまうようなことを書き、次の日には書いたことを忘れています。1960年代生まれ。♀。肩書不定。ただの「私」でありたいんだと青臭いことを言っても、読んだらわかるただの主婦。