小石かるべき

昨日、歩いている時に左足が小石に乗っかり、転んで右足の膝を強かに打った。今も血が滲んでいるし、地面を突き飛ばした腕も痛い。まあ、それは私の不注意だからしておいておくとして、今書こうとしているのはその直後の話。

どこにもぶつけようのない情けなさを抱きながら、運動場と住宅の間の車の通らない道を家に向かおうとした時だ。ランドセルを背負った学校帰りの男子が、石を蹴りながら歩いていた。小学3年くらいかな。小石を蹴りながら歩く子を見るのはべつに珍しくもないが、細い道だ。前をのろのろと歩かれるのは困る。それで、追い抜いた。石蹴りの邪魔して悪いけど。

でも、少年はなんとも思わなかったらしい。石を蹴り続ける。少しずつ距離を離しても、小石が後ろから追ってくるのがわかる。なぜ私が小石から逃げるように歩かねばならぬのか。やめんかこら。だんだん腹が立ってくる。

マンション前の道へ曲がったときだ。ひときわ勢いよく小石が転がってきて、私を追い越した。さすがにこのままではいかんと思い、立ち止まってくるりと振り返り、正面から少年の顔を見た。キョトンとした目と、目が合った。

「人がいるところで石を蹴ったら危ないでしょう?!」

なーんてことは、言えなかったけれど、両目にその思いは込めた。


伝わったのかな〜伝わってないんだろうな〜。

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sakurai
書かなければ忘れてしまうようなことを書き、次の日には書いたことを忘れています。1960年代生まれ。♀。肩書不定。ただの「私」でありたいんだと青臭いことを言っても、読んだらわかるただの主婦。