疑ってしまった

「もう、すっごく感動しちゃいまして…」とAさんはハンカチで目元をおさえながら賛辞を述べた。ついさっきは別のことでツボにハマり、ひとりで大笑いしていた若い女性だ。

私は、彼女とその賛辞の対象者たちとの間に立って、久しぶりに人を疑っている自分に気づいてしまった。

…もしかしてこの人(Aさん)、本当は馬鹿にして笑いたいのを堪えている?

本当のことを言っているなら私も彼らのために喜ぶところだけど、なぜだかそうは思えなかったのだ。別の人たちが端的に感じたことを話してくれたのと比べ、彼女の言葉と態度は大袈裟すぎた。もし、子供を褒めるような感覚で上から褒めているだけなら、もし「おだてておこう」と思っているだけなら、間にいる私は手放しで喜べない。彼らを甘く見られるのは腹立たしい。

とはいえ、…だ。初対面のAさんがどういう人なのか、本当のところ全く知らないのだ。彼女の言葉を信用できなかった私の心の方が曇っているんだと思えばそんな気もしてくる。本当は感受性豊かで、ただただ純粋な人だったのかもしれないじゃないか…

こうやって書いているうちに、その時は「嘘なんじゃ?」と疑ったことが、だんだんと「まさかそんなことはないでしょ」に思えてきている。まあ、人を疑うより、「いい人」(というか、お人好し)でいたいもんな、私。

これから長く彼女と関わっていけば、きっと人柄もよくわかってくるんだろう。でも、関わりたいと言っておきながら二度と関わって来ない、そういう嘘をつける人なんじゃないかとも思っている。

どっちなんだ!

私の直感なんか、外れていればいいんだけど。

sakurai
書かなければ忘れてしまうようなことを書き、次の日には書いたことを忘れています。1960年代生まれ。♀。肩書不定。ただの「私」でありたいんだと青臭いことを言っても、読んだらわかるただの主婦。

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