懐かしい人に会った

同じ駅を使う距離に住んでいても、「偶然だれかに会う」ことは少ない。特にわたしはあまり人の顔をはっきりと見ていないし、基本的にはだれにも会いたくないと思っていたりするから尚更だろう。だって、外に出ているときは何かしらの用があるわけで、それを遂行したい。店の中や道端でずっと立ち話をしている人たちの真似はしたくないという思いも常にある。

でも、会えたら嬉しい人はいる。今日、偶然に会えた人はうんと年下の女性だ。彼女が仕事を辞めて海外に行ってしまったのはコロナ前だから、それ以来だ。変わらず元気そうで、仕事も自分のしたいような方向で頑張っていて、単純にうれしかった。いろいろ聞いてみたいこともあった。

立ち話もなんである。私にはこれから行くところもある。だったら、後日の何かしらの約束をすればいいんじゃないかと、オトナのわたしは思う。彼女は人懐っこく「この時間にここに来るとサクライさんにまた会えるんですねー」と笑っている。ほれ、次の偶然じゃなく、約束しろ、ほれ、誘ってみろ、それがよくあるシナリオであろうと思う。

でも、できないのよねぇ。「じゃあ、またね」と分かれただけ。
べつにそれでいいし後悔はしていないんだけど、「一歩近づけない自分」っていうのが、つまんねぇなーと思う。水を向けられたっていつも反射的に気づかないふりをしてしまう。

海外に行く前、「帰ったらまたね」って言ったのはわたしじゃなかったっけ?

まあいいや。彼女は元気でやっている。会えてよかったーで、いい。
何もいちいち反省することはない。

ということにしよう。

sakurai
書かなければ忘れてしまうようなことを書き、次の日には書いたことを忘れています。1960年代生まれ。♀。肩書不定。ただの「私」でありたいんだと青臭いことを言っても、読んだらわかるただの主婦。